今朝の私は緊張に包まれていた。
独りで朝食の目玉焼きを突いていると、ISUZUで参戦している日本人のナビがひょっこり現れて、
「今日のコースは一昨年のお前らがリタイヤしたコースをそのまま走らされるようだな。それに、地雷の埋まった魔のリエゾン付きだ。気をつけろよ!」
そういうだけ言って行ってしまった。
(やっぱ、そうか・・・・。)
私は残りの卵焼きを一口でパクつき、ランチパックと水を取りに走った。
巻き髪のかわいいいつもの女のスタッフに水の引換券を8枚渡した。彼女は一瞬「こんなにたくさん!?」というような顔をしたが、
「特別よ。箱ごと持って行って!」
そう言って、10本入りの水の箱を私に手渡してくれた。
サハラでは水が多くて困るということはない・・・・。
スタートの準備をしていると、どうにかこうにか応急処置をしながら走り続けている例の南アフリカのナビが近づいてきてた。今日のコースについて聞きたいらしい。
「一昨日の砂丘群は幼稚園のお砂場みたいなもので、今日から本格的な砂丘越えが始まるの。それに、リエゾンには地雷が埋まっているから、コースを外れないように、マウンドとマウンドの間を走るのよ。間違ってもショートカットなんかしちゃダメ。」
それを聞いていたドライバーがびっくりしたように言った。
「君はそんなに小さいのに、すごく強い心を持っているんだな!怖くないのか?」
私は溜息をつき、そしてゆっくりと答えた。
「モ・チ・ロ・ン、コ・ワ・イ」
しばらくじっと私の目を見ていたドライバーは、
「神のご加護を。」
といって、私をハグした。私も彼の背中を優しくたたきかえした。
サハラ砂漠に挑戦できるマシーンは、すでに115台から95台までに減っている。今日のコースでさらに減ることだろう・・・・・。次々と湧いてくる思いを抑え、ナビシートに乗り込んだ。
前を行くマシーンの巻き上げる砂ぼこりの中、ピストから外れないよう、ゆっくりとSSのスタート地点まで走る。友川はとても無口で、今から始まる戦いに思いを向けているようだった。
SSに入ってしばらくはスピードコースだったが、次第にその様子を変え始めたのは、半分ほど走ったあたりからだった。
スタート前に、あまりにも凄そうな砂丘群だったらCPを飛ばしてペナルティー覚悟で迂回をしようと話していた。そろそろ決断しなくてはならない。
一昨年のコースが頭の中によみがえってきた。
(逃げずに戦わなければならない。今のまこねぇなら走れるはずだ。)
「このまま、(砂丘に)入ろう。」
「うん!」

別々に悩んだ結果、同じ答えにたどり着いていた。
「よし!行こう!」
友川は砂丘越えを楽しんだ。
砂丘の恐怖に勝ったかのようだ。
勿論、何度もスタックして、ズエラットにたどり着いたのは夜中の1時過ぎ。
しかし、昨日のような睡魔には襲われず、気持ちの良い疲労感と満足感に浸っている。
まだ痛々しく傷跡が残ってはいるが、友川は今日の自分の走りに満足しているのだろう。ビバークについてからも、ずっとニコニコしている。ドライバーが満足そうに笑ってくれている・・・・・。ナビとしてこんなに嬉しいことはない。
明日も笑っていられますように!
本日の順位は62位。総合でも、なんと、69位!
まこねぇ、すごーい!!!

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