2010年1月17日日曜日

1月14日 まだ×まだ×まだ レグ13 Merci!

  

 たったの60kmを走るのに、一体何時間かかったのだろう?
・・・・ダメだ。過ぎた時間を考えるとおかしくなる。それよりも今だ。

現に今も暗闇にかき消されて、自分たちのいる正確な位置がわからないでいる。

ルートブックに出てくる岩山なんか、この闇の中では私の目には全く見えない。

 今日のステージは景色が見えなければポイントを見つけることは難しいようだ・・・。自分たちがオンルートにいると確認できる唯一の方法は轍が新しいということだけ。ミスコースを避けるため轍の上を走り続けるしかない。その上の2駆。スタックを避けるため、砂丘にアタックする前にはマシーンから飛び降り、じっくりとベストなルートを探した。それでもスタックしてしまったら、

「あきらめないぞー!!」
と、叫びながら砂を掘った。

 ルートブックの561km地点で、砂丘と砂丘の間を左に折れるように指示されていたが、一向にそのポイントが見当たらない。既に数キロオーバーしている。スタック時の空転を考えても行き過ぎではないだろうか?しかし、ヘッドライトが映し出す砂漠には無数の轍が残されている。一体どうなっているのだろう?
明るければ簡単に見つかるルートのはずなのに・・・。もどかしい・・・・。

 大きな砂丘が現れた。
「うわっ、こんなの2駆じゃ無理だよ」
そいうって友川がマシーンを止めた。バックしたところで助走を十分にとれるようなフラットな場所でもない。
「行けそうなところ、探してくる」

 ナビ席を降りると足がふらついているのがわかった。
ヘッドライトと懐中電灯の明かりを頼りに周りを見渡す。1台の轍が左方向に向かって走っているのを見つけた。しばらくそれをトレースして歩いたが、エネルギーがすでにレッドゾーン。睡眠不足とこの長い一日の戦いで、体中が「もう無理」と言っていた・・・・。

だが、力尽きるわけにはいかない。ポケットにねじ込んでおいたチュッパチャップスのプリン味で気持ちばかりのエネルギーを補給。

砂漠でプリン・・・。悪くない。

 その轍はかなり良いラインだったが、何かアクシデントが起こる可能性は否定できないため、メインの轍から外れることが怖かった。残念だが、この轍は諦めることにする。

うっすら明るくなりかけている。

 急いでマシーンにもどると、友川も行く手を阻む砂丘にお手上げのようだった。
カバンの底からビタミン剤を見つけ出し、口の中に放り込む・・・・。

「10分ほどで明るくなるはずだから、それまで休憩させて。エネルギー、切れた」
友川は、わかったと頷き、私は遠慮なく目をつぶった。
闇に吸いこまれるような感じだった。

「見えたよ!あっちの方角だ。多分、行ける!」
すぐに友川の声で闇の中から引き戻された。
さっきまで見えなかった砂丘の全体像が、紫色の朝もやに包まれて、はっきりと浮かび上がっていた。
「歩いていたら、急に明るくなってきてさ。そしたら視界が開けて、道が見えたんだ。行こう!」
友川は子供みたいにはしゃいでいた。

 ほんの一瞬目をつぶっただけだったが、ビタミン剤が効いたのか、瞑想から覚めたかのようにすっきりしている。砂漠の神はまだ私たちを見放していないようだ。感謝。

タイムアウトがかかっている・・・・。急がねば!

・・・・残り180km。

「こういうの、ことわざでなんていうんだっけ?」
「え?」
「無理を通せば道理が通る?」
「違うよ、それは道理が引っ込む・・・・。意味違うし。『なせば、なる』じゃない?」
「いい!今日からは『無理を通せば道理も通る』にする!」
友川は、それからずっとブツブツとその「友川語録」を繰り返していた。
・・・彼女の素直な気持ちだ。2駆でここまで頑張ったんだから絶対に諦められないしタイムオーバーなんてありえない!という気持ちをストレートに表現しているのだ。

 砂に散々苦しめられた後は瓦礫のルートで、それから後も思ったようにアクセルが踏めず、容赦なく時間だけが過ぎていった。それでも確実にゴールには近づいていった。

 戦って、戦って、嫌になるほど戦って、やっとゴールできたのが午前10時過ぎ・・・・。

コントロールでタイムカードを渡すと、今日のルートブックを渡された!
タイムアウトではないということだ!
「やった!!」
「メルシー!!」

 この時の気持ちを、どう言葉で表せばいいだろう?なんだっていいや!とにかく嬉しい!それだけだ。

・・・・いかなる困難にもへこたれずにここまで来た。
そして、この喜びは与えれたものではなく、自分達の経験から生まれたものだ。

これこそが、冒険者の感じる喜びなのではないだろうか・・・・・。

順位は、45位。多分、いや、絶対にビリ。でも、いい。





 

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